この記事では、建築CAD検定准1級を独学で受験し合格した体験談をまとめています。
通信制大学で建築を学ぶ社会人学生です。
CADオペレーターとして働きながら、育児と勉強の両立に奮闘しています。
資格取得は5年以上前ですが、改めて確認しても、准1級の体験談はネット上にほとんど見つかりません。
そこで当時の自分の記録を元に、現時点での気づきや補足も交えつつ、まとめ直しました。
長い記事になりましたが、どうぞお付き合いください。
これから准1級に挑戦する人の参考になれば幸いです。
- 建築CAD検定准1級の合格ライン
- 試験終了前に必ず見直すポイントまとめ
- 独学者向け 時短テクニック集
- 【参考】不安なときは運営に問い合わせで解決
- FAQ
- 建築CAD検定准1級を取ったあとのキャリア
- 独学者必携!公式ガイドブック
- まとめ
建築CAD検定准1級の合格ライン
公式発表の採点基準
受験生にとっては、合格ラインはとても気になるポイントですよね。
公式発表の合格ラインは、非常に厳しい基準になっています。
ほぼ完璧に図面を描かなければ合格しません。時間不足で描けないところが少しでもあれば不合格です。(中略)
「不注意による少量のミス」は容認する(中略)
ミスの量が少量か多量かは合格判定者の判断によります。
公式ガイドブックより引用。
図面が完成していなければ不合格。
というか、そもそも採点してもらえません。
実際の体験談:どこまでミスしても合格できたか?
基本的には「100%トレースできたら合格」ですが、「不注意による少量のミス」は容認される場合ありとのこと。
私自身、試験会場を出た瞬間に思い出したミスが2つあります。
- 浴槽を1つ書き忘れた
- 壁とロッカーに不自然な隙間ができてた
なぜか試験中はほかの部分に気を取られて目に入っていないのに、終わった瞬間に思い出すんですよね。
これくらいのミスなら、ケアレスミスと判断してもらえたようです。
あくまでも私個人の体験ですが、「完璧」にとらわれすぎず、図面をすべて埋めることを目指しましょう。
試験終了前に必ず見直すポイントまとめ
優先順位①:名前・題名・ファイル名
試験終了直前に、時間がなくても必ず確認するべきポイントです。
✔ 自分の名前
✔ 提出用のファイル名
図面を仕上げることに一生懸命で、意外とおろそかにしがちな部分です。
それでいて間違うとダメージの大きい箇所ですよね。
優先順位②:自作のチェックリスト
練習しながら、忘れやすい箇所をメモしてチェックリストにしておきました。
✔ 寸法線のズレ
✔ バルコニー・屋根・隔て板の忘れ
✔ 家具や小物の数
✔ 断面図の梁の位置
当日もメモを見ながら確認するつもりでしたが、残念ながら時間が全然なく見直しはできませんでした。
見直し時の心構え
ゆっくり考えれば当たり前にできることでも、何故か本番では焦ってミスしてしまいますよね。
あらかじめ時間が余ったとき何を見直すか決めておくと、時短になります。
- 他人の答案を見るつもりで、間違い探しをする
- 「絶対にひとつはミスがある」と思って見る
- 手を止めるのが怖くても、数分は見直しに使う
独学者向け 時短テクニック集
准1級の試験では、2時間半で4枚の図面を描かなければなりません。
仕事では気に留めないくらいの些細な時短ですが、試験の限られた時間内では1分1秒が明暗を分けることも。
建築士の製図試験対策を紹介しているブログや動画が、とても参考になりました。
手書きとCAD、設計とトレースの違いはあれど、同じような図面を描きます。
CAD製図にも応用できそうなものを探しました。
ショートカットを使う
基本の時短テクニックですね。
CADの入門テキストでも推奨されていますし、建築CAD検定の公式ガイドブックでも触れられています。
JW_cadでもAutocadでも基本は同じです。
コピペをフル活用
すべての線を引いていたら、とても間に合いません。
公式ガイドブックでも触れられています。
部品単位でコピーし、位置や寸法が多少違ってもストレッチコマンドで調整しました。
- 大きさの違う窓
- 椅子とソファー
- 個数の違うトイレ
文字の単語登録
持込みPCの人は、良く出てくる単語を登録しておくと時短になります。
地味ですが確実に時短になり、変換ミスによるストレスを減らしてくれます。
私は過去問に出てきた語句はひととおり登録しました。
- 風除室・倉庫など室名
- 道路境界線・駐車場入り口など外構
- 受験番号(受験票で事前に分かる)
- 自分の名前
得意を伸ばす考え方
苦手克服でも良いのですが、得意を伸ばしたほうが効果を感じやすいです。
勉強していて楽しいですしね。
私はの苦手は、図面を読み取るのが遅いことです。
「まだ経験が浅いから仕方ない」と割りきり、そこは長期で克服することにして……
得意だった文字入力の時短に注力しました。
どのタイミングで文字を記入するべきか?
ひとつひとつ打ってくのではなく、まとめて打ってから移動させたほうが早いのでは?
などと色々試しました。
おかげで、試験直前は勉強を始めた当初よりも2/3ほどの時間で文字を記入できるようになっていました。
【参考】不安なときは運営に問い合わせで解決
独学だと「これをやっていいのか?」と迷う場面も多いと思います。
そんな時は迷わず、運営に問い合わせましょう。
勉強を始めたときは別アプリで文字を一気に入力→CADにコピペしという方法をとっていました。
ふと不安になり問い合わせたところ「CAD以外のアプリ・ソフトは使用不可です」と教えてもらいました。
別アプリを開いた時点で失格です。
細かいことでも自己判断せず、確認しましょう。
次の日には返信が来ましたし、とても丁寧に対応してくれます。
問い合わせ先は受験票に載っています。
FAQ
独学でも本当に合格できる?
はい。
公式ガイドブックと過去問、練習環境さえ整えれば、独学でも十分合格できます。
持ち込みPCと会場PC、どちらを選ぶべき?
建築CAD検定准1級では「自分のPCを持ち込む」か「会場PCを使う」かを選択できます。
独学で練習を重ねてきた場合は、持ち込みPCの方が安心です。
私は持ち込みました。
ただ、会場にいた6割ほどは会場PCを使っていて驚きました。
それぞれのメリット・デメリットを整理しておきます。
持ち込みPCのメリット・デメリット
- 練習と同じ環境で作業できる
- 文字の単語登録やショートカット設定が活用できる
- 試験当日に設定し直さなくてもいいので安心
- ノートPC本体+電源コード+マウスなど荷物が増える
- ディスプレイやキーボードは自前(会場で貸してくれない)
- CAD以外のアプリ(メモ帳など)は使用禁止。設定要注意
会場PCのメリット・デメリット
- PCを持ち歩く必要がない
- 機材トラブル時も試験側が対応してくれる
- 環境が不慣れで操作ミスのリスク
- 単語登録やショートカット設定がリセットされていることが多い
- 印刷設定などを事前に整える必要がある
どのCADソフトが使われている?
当日の肌感ですが、AutoCADが圧倒的に多かったです。
次点でJw_cad。
私はJw_cadで受験しました。
好きなソフトを選べるので、普段使い慣れたソフトで練習しておくと安心です。
試験当日までに最低限やるべきことは?
- 公式ガイドブックを熟読
- 過去問を繰り返し練習
- 印刷設定やショートカット設定
- 持ち物リストの確認
詳しい持ち物や準備方法は、記事最後にある関連記事をご覧ください。
建築CAD検定准1級を取ったあとのキャリア
資格は実務に活かせる?
実感としては、資格を持っていても実務には大きな影響はありません。
どの業界でもそうですが、実務経験が最優先です。
建築士や施工管理技士を持っていれば別かもしれませんが、建築CAD検定准1級は「ないよりはプラス」くらいの位置づけです。
私自身は「何もない自分に自信をつけたい」という思いで資格取得に挑みました。
経験だけでは語れない部分も、資格を裏付けに堂々とアピールできる場面はあります。
CADオペレーターに求められるスキルとは
以前、現場の方に「CADオペレーターは清書屋」と言われたことがあります。
- スケッチから正確な図面を描く力
- 口頭指示を正しく読み取る力
- 建築の基礎知識
- コミュニケーション力
実際の建物をイメージしながら、素早くきれいな図面を仕上げる力が求められます。
独学者必携!公式ガイドブック
独学で受験するなら、『建築CAD検定試験公式ガイドブック』は必ず用意しておきましょう。
過去問・採点基準・作図ルールまで網羅されています。
まとめ
建築CAD検定准1級の最大の敵は「時間」です。
完璧な図面を目指しつつ、でも少しのミスは気にしすぎず、冷静に最後までやりきることが大切。
私は、試験直前には狂ったように「准一級 合格」と検索しまくっていました。
これから受けようとする人の安心に繋がれば幸いです。
建築CAD検定准1級について、独学受験に役立つ情報をまとめています。
試験当日の流れから、勉強法や取得後の活かし方まで、体験をもとに具体的に解説していますので、ぜひシリーズで読んでみてください。